2012年 11月 05日
椎の実の想い出 |

「椎の実の想い出」
秋晴れの空高く、ススキがなびくそよ風に、重ねてきた歳月を、物寂しく想う今日この頃。と、ススキの風景を見ながら洒落てみましたが、秋は食欲の秋でもあります。秋も深くなると、子どもの頃は森に出かけて行き、ドングリや椎の実を採りに行きました。ドングリは、出きるだけ大きいものを採って、片方のポケットに一杯になるまで詰めます。椎の実は、ドングリに似ていますが、黒く細長い小さな実で区別がつきます。椎の実には、当たりはずれがあり、より黒く細長いものの方が、当たりで美味しいです。椎の実を見つけると、先ずそのまま皮を剥いて口に入れます。その年最初の椎の実を口に入れた瞬間は、何とも言えず嬉しく、甘みのある味が口に広がります。今でもその瞬間の味が口に蘇ります。幾つかその場で食べた後は、手当たり次第に椎の実を探し出し、反対側のポケットに一杯詰め込んで、家に帰りフライパンで塩をふりかけて炒ります。パチッ、パチッと弾く音を立てて香ばしい匂いが漂います。炒った実を熱いうちに薄皮を剥がして食べますが、甘みが増してさらに美味しく、自分で採って料理したおやつに満ち足りた気分になります。
もう片方のポケットに入れた一杯のドングリは、箱に空けて、形の良いものから、コンクリートで頭の部分を削って、中の実を釘でくり抜いて、笛にします。ドングリの大きさによって音が違います。また、爪楊枝にさしてコマにしたりして遊びます。
森は、椎の実、銀杏、アケビに桑やグミなどの木の実、そして、茸と、折々に豊かな実りがあります。時期を見定めて、森に木の実を採りに行く気分は格別です。木の実を採っていると夕方は、木々の間から木漏れ日が差し込み、童話の中のニンフやドルフなどの妖精が出てくるような不思議な美しさに心が打たれます。林や森は、子どもを優しく包み、想像力や感受性など豊かな感性を育んでくれます。
1998年度、2005年度、2009年度と三回にわたって全国約1万人の小学4 年生、小学6 年生、中学2 年生の3 学年に行われた文部科学省の全国の「青少年の自然体験活動等に関する実態調査」では、「海や川で貝を採ったり、魚を釣ったことがあるか」という自然体験に関する問いに対し、1998年度では42%の子どもたちが「何度もある」と回答したのに対して、2005年度は27%、2009年度では26%となり、42%の子どもたちは「ほとんどない」と回答しました。

「大な木に登ったことがあるか」という問いに対しては、1998年度では24%の子どもたちが「何度もある」と回答したのに対して、2005年度と2009年度では19%となり、なんと2005年度では54%の子どもたちは「ほとんどない」と回答しました。

「キャンプをしたこと」という問いに対しては、1998年度では27%の子どもたちが「何度もある」と回答したのに対して、2005年度では20%、2009年度では18%となり、なんと2009年度では57%の子どもたちは「ほとんどない」と回答しました。

この調査では、自然や生活体験と倫理観及び学習意欲の相関を調査したのですが、自然体験豊かな子どもは、学習意欲・倫理観も高く、学校、家庭、友だち関係の満足度も高いという調査結果でした。

自分たち大人は、自然の中で遊んだ楽しい経験がありますが、今多くの子どもたちは、自然に中で思い切って自由に遊ぶ経験が少なすぎます。子どもたちが、自然の中で暗くなるのも忘れて、魚釣りや昆虫取りに夢中になる時代にしたいものです。
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by s-shiger
| 2012-11-05 22:22
| 自然